メディアフォーラム『洋上風力で社会が変わる~産業・地域・人材の転換に向けて~』を開催

 2022年4月26日、日本橋ライフサイエンスビルディング(東京都中央区)にて、メディアフォーラム『洋上風力で社会が変わる~産業・地域・人材の転換に向けて~』を開催しました。

 洋上風力研究教育センターの設立趣旨、および活動計画についてご説明をおこなうとともに、メディア関係者の皆様からのご質問・ご意見に沿ってディスカッションをさせていただきました。当日は会場・オンライン配信を含め計19社・28名のご参加をいただきました。

フォーラムの様子

 まず初めに石橋達朗総長より、九州大学の全学的な方向性・方針における、洋上風力研究教育センターの位置づけについてご説明をいたしました。

石橋達朗総長(伊都キャンパスよりオンラインでの参加)

 九州大学は2021年11月、「指定国立大学法人」の指定申請を契機に策定した「Kyushu University VISION 2030」の中で「総合知で社会変革を牽引する大学」をビジョンとして掲げています。当センターも、本学が有するさまざまな分野の教員の“総合知”を結集させることで、洋上風力分野における革新技術の創出、脱炭素社会モデル構築などの政策提言、高度人材育成等の具現化を図っていくという理念についてお話をさせていただきました。

 センター長の福田晋理事・副学長からは、洋上風力研究教育センター設立の背景についてご説明をいたしました。

福田晋センター長

 ウクライナ危機に端を発する、エネルギーや食糧の国際価格急騰、それに伴うエネルギー安全保障・エネルギー計画の見直しは、今や世界的なイシューとなっています。とりわけエネルギー自給率が低い日本において、今後如何にエネルギー安全保障を図るかというのは重要な課題です。

 今回のセンター設置は、脱炭素社会の実現に加えて、我が国のエネルギー安全保障を図る上での問題意識を踏まえた、九州大学のアクションであると福田センター長は強調しました。

 次に副センター長の古川勝彦教授より、洋上風力教育センターの主な活動内容に関してご説明をいたしました。

古川勝彦副センター長

 2020年12月に発表された「洋上風力産業ビジョン(第1次)」を契機に、明確な国の方針が打ち出されたことにより、洋上風力発電拡大に向けた環境は整いました。

 しかし一方で、日本特有の過酷な風況や社会環境など、クリアしなければならない課題は多く、かつて風力発電システムの開発に着手していた国内の主要メーカーは次々と撤退したこともあり、海外で製造された洋上風車の導入が進んでいるのが現状です。

 九州大学では、独自の風力発電技術の開発、高度な風況解析技術、独自の浮体技術の研究開発、基礎研究から実証実験・実装まで、高い研究開発実績を有しています。この実績を活かしつつ、水素、材料、数学、情報科学、電気、経済分野など、さまざまな研究者が連携して、我が国の洋上風力分野の課題解決、およびイノベーション創出を企図するのが当センターの掲げるビジョンです。

 主な活動の方向性は「洋上風力発電産業との緊密な産学官連携」「洋上風力発電産業を牽引する人材の育成」「洋上風力拡大・推進に向けた実効的な政策提言」「日本の環境に最適化された洋上風力技術の研究開発」の四点です。これらを通して、我が国の洋上風力発電の主力電源化及び地域分散型エネルギー社会の実現に向けて積極的に貢献してまいります。

 フォーラムの後半では、会場・オンライン双方のご出席者の皆様からご質問をいただき、洋上風力研究教育センターの主要メンバーからご回答・意見交換をさせていただきました。

 質疑内容は、国内外の洋上風力分野の現状認識、研究技術の進捗や見通し、当センターのコンソーシアム構想に関するものまで多岐にわたりました。

フォーラムの内容は下の動画で確認いただけます。

主催者挨拶

九州大学洋上風力研究教育センターの設立の背景

九州大学洋上風力研究教育センター主な活動に関して

 

  

【登壇者】
石橋 達朗(九州大学 総長)※オンライン出演
福田 晋(センター長/九州大学副学長)
胡 長洪(副センター長(研究担当)/次世代洋上風力発電研究部門長/応用力学研究所 教授)
古川 勝彦(副センター長(渉外担当)/学術研究・産学官連携本部 教授)
宇都宮 智昭(支持構造物・洋上送電研究部門長/工学研究院 教授)
吉田 謙太郎(脱炭素エネルギーマネジメント研究部門長/エネルギー研究教育機構 教授)
内田 孝紀(マルチスケール洋上風況研究部門長/応用力学研究所 准教授)
吉田 茂雄(次世代洋上風力発電研究部門/応用力学研究所 教授)※オンライン出演
大屋 裕二(応用力学研究所 元所長/協力研究員) ※オンライン出演

 このフォーラムを通じて、本学のビジョン、およびセンター設置の狙いや活動計画について、メディア関係者の皆様方に改めてご説明をさせていただきました。ご参加頂きました方々へ、この場を借りて改めて御礼申し上げますとともに、今後ともどうか御支援賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。