九州大学洋上風力研究教育センター

センター長挨拶

 九州大学理事・副学長(産学官連携 担当)の福田と申します。九州大学は、2022年4月1日に「洋上風力研究教育センター」を設置いたしました。センター設置に伴いセンター長を拝命いたしました。センターの発展に尽力する所存でございます。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

 2020年10月菅首相は所信表明演説で、温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする「2050年カーボンニュートラル」を宣言しました。その後2020年12月には、政府は「洋上風力産業ビジョン」を発表し、その中で2040年までに30~45GW(ギガワット)(2018年実績の約10倍強)の洋上風力発電の導入目標を掲げています。政府は、洋上風力発電を再生可能エネルギーの主力電源化に向けた切り札と考えており、上記の野心的な導入目標を掲げることにより、大きな需要の創出を約束しています。こうした需要を呼び水として風力産業の誘致・創出、国内サプライヤーによる強靱なサプライチェーンを構築、更にその先の次世代浮体式洋上風車技術等のアジア展開を見据え、技術開発や国際連携に取り組んでいくことが期待されています。

 政府が明確な方針を打ち出したことにより、洋上風力事業の拡大は道筋が見えてきましたが、2019年時点で国内の大手風車メーカーは風力産業からほぼ撤退しているため、今後この拡大は海外製洋上風車の導入により進んでいきます。このような状況において、日本特有の過酷な風況及び社会環境は変わらず、国内のサプライチェーン形成、風力産業人材の不足、エネルギー安全保障、我が国の風況及び社会環境への適合性等、課題は山積している状況です。

 九州大学は、独自の風車技術/浮体技術(ハード面)と風況解析技術/流体構造解析技術(ソフト面)の両面を兼ね備え、風車開発ができる国内唯一の大学です。また、指定国立大学法人構想において、我が国のグリーンイノベーションハブとなり、革新技術の創出、政策提言、人材育成に貢献及び洋上風力発電をはじめとする風力エネルギー技術の革新を提示しています。

 九州大学は上記洋上風力研究実績をベースに関連研究資源を集約することにより、世界最高水準の洋上風力関連研究・教育の拠点を目指し、洋上風力研究教育センターを設置しております。併せて、当該センターを核に我が国の産学官の経験・ノウハウ・能力の結集を目指す「洋上風力産学官連携コンソーシアム」も設立することにいたしました。九州大学では、この2つの組織の設置・設立により、洋上風力に関わる課題に取り組み、我が国における洋上風力発電の主力電源化及び分散型エネルギー社会の実現に向けて積極的に貢献したいと考えています。是非皆様のご協力とご鞭撻のもと、センターの運営を行ってまいりたいと思います。何卒よろしくお願い申し上げます。

2022年4月吉日

九州大学理事・副学長

九州大学洋上風力研究教育センター センター長

福田 晋